2025年5月18日
日中は初夏の陽気を感じる日も増えて参りましたが、夜はなお涼しく、過ごしやすい季節となっております。OBOGの皆様におかれましては、益々ご健勝のことと存じます。
5月8日から11日にかけて第104回関東学生陸上競技対校選手権大会(関東インカレ)が、相模原ギオンスタジアムにて開催されました。結果は男子20点で14位、女子は8点で13位となりました。
本年度は厳しい戦いが予想される中、4年生のみならず下級生に至るまで強いプレッシャーの下で冬季練習に励み、本大会に臨みました。
中でも主将・大島琉偉(経4・慶應)が、4月の六大学対校戦で肉離れを負い、関東インカレの欠場を余儀なくされたことは、チームにとって大きな痛手でありました。
そのような状況下においても、十種競技の髙橋諒(商2・桐朋)が見事な戦いぶりで、同種目史上8人目となる連覇を達成致しました。髙橋は冬季練習開始前から「自分が優勝しなければ2部降格の可能性がある」との強い危機感を抱き、誰よりも覚悟を持って練習に励んでおりました。4月末の個人選手権では足の不調により無理をせず棄権し、関東インカレに照準を合わせて調整しての快挙でした。
又、プレッシャーを跳ね除けるような活躍としては、鈴木太陽(環4・宇都宮)の男子1500m3位入賞が挙げられます。1500mでの入賞は1992年の中村守さん(7位)以来、実に33年ぶりの快挙であり、本人にとっても予想を上回る好成績でした。この結果により、チーム全体の雰囲気も大いに盛り上がりました。
男子4×100mリレーにおいては、9チームが決勝に進出する緊張感の中、明治大学のフライング失格もあり、波乱含みの展開となりましたが、林明良(政3・攻玉社)、岩舩遙信(環2・新潟明訓)、中島叶雅(商3・慶應)、篠宮健吾(経4・慶應)の4名で見事にバトンを繋ぎ、7位入賞を果たしました。日本選手権リレー等では活躍が続いておりますが、関東インカレにおける4継の入賞は、2017年の山田穂高さん・永田駿斗さん・竹井郁哉さん・小池祐貴さんの代以来、8年ぶりとなります。
更に、3000m障害では安田陸人(商4・開成)が5位入賞。こちらも1999年の丸山博邦さん(6位)以来、26年ぶりの入賞となりました。
女子では、倉田紗優加(環3・伊那北)が槍投げで60m57の好記録をマークし、日本歴代10位、学生歴代5位という内容で二連覇を果たしました。先の学生個人選手権での悔しさを見事に晴らす内容でした。
今回の大会では、2日目の鈴木太陽の3位入賞を機にチームの士気が向上し、他の選手の力も引き出されましたが、最終的には男子20点で14位と、入れ替え戦の危機に直面する厳しい結果となりました。この結果を重く受け止め、1年後の関東インカレを見据え、シーズンを通して全員が危機感を持ち、冬季練習に繋げていく必要があると痛感しております。
尚、今回の関東インカレでは獲得した男子20点のうち、長距離ブロックが10点を挙げるなど、近年稀に見る構成となりました。これは、8年前に始動した箱根駅伝プロジェクトの成果が形となって表れてきたものと捉えております。今後は特定のブロックだけでなく、全体として得点できる体制を築き、陸上競技の“団体戦”としての醍醐味を、この対校戦で体現していきたい所存です。
陸上競技は本来個人競技でありますが、対校戦は、一人の力では勝つことは出来ず、夫々が積み上げた「1点」の集積が勝敗を分ける、まさに“団体競技に変わる瞬間”であります。今後も、こうした試合の価値と意義を、選手・スタッフ一同でしっかりと共有し、挑み続けて参ります。
次戦の日本インカレは6月5日から8日にかけて岡山県で開催されます。標準記録の締切が今週末に迫っており、それまでに各選手が仕上がりを見せ、しっかりと準備を整えて臨みたいと考えております。
最後になりますが、「試合中の欲しい物リスト」を通じて多くの方々より温かいご支援を賜りましたこと、また遠方かつアクセスの悪い会場にもかかわらず現地にてご声援頂いたOBOGの皆様に、改めて心より御礼申し上げます。
シーズンは始まったばかりではございますが、今後とも変わらぬご声援・ご支援の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
慶應義塾體育會競走部監督
鹿又 理