監督便り

監督便り Vol.5 2022 Nov

11月に入り、今季の主な試合、行事も終盤に向かっております。

10月15日の箱根駅伝予選会は26位と極めて残念な結果となりました。
エースに成長した木村有希(2年、総合政策、葵)が怪我から復調出来ず、来季を鑑み欠場としたのは保科コーチの苦渋の決断でした。
1年間チームを引っ張ってきた4年生の前原裕磨(4年、政治、熊谷)、森田剛史(4年、経済、塾湘南藤沢)と、夏合宿は厳しい練習にも耐えましたが疲労が抜けず本番で本来の力を発揮出来なかったのは本人が一番悔しい思いをしております。
保科コーチからも1年間、厳しい練習に耐え得る身体作りとして、練習、栄養、治療、休養のサイクルの充実さを再度考えさせられた試合だったと聞いております。
将来を見越した上では、前回1年生ながら、箱根駅伝に関東学連選抜で出場した田島公太郎(2年、環境情報、九州学院)は、実業団の夏合宿に参加し、実力を付けての全体30位、日本人16位と、着実にチームを牽引する存在となっております。
又、1年生の安田陸人(1年、商、開成)は部内4位、東叶夢(1年、環境情報、出水中央)は部内8位と、若い力に将来を期待したいと思います。
そうした中、貝川裕亮(4年、環境情報、美濃加茂)の関東学連選抜選出は、塾競走部のKマークを全国に知らしめる良い機会となります。
現在、選出記録が全体11番目となりますが、前後1秒差と言う事から、十分にチャンスがあり、残り2ヶ月万全の準備で臨んで貰いたいところです。

10月30日には第二回ALL慶應陸上祭と称して、SEIKOの協賛も頂き乍、一貫校、地元の小学生もご招待しOBの山縣亮太(2015卒、総合政策、修道)のかけっこ教室も開催する中、一年間、部を引っ張り、支えて来た藤木健人主将(4年、商、桐朋)、田村颯斗主務(4年、商、舟入)の105代目から、伊藤達也主将(3年、商、帝京大学)、齋藤恒主務(3年、経済、山形東)の106代目に世代交代が行われました。
藤木主将は怪我に苦しんだ一年の引退レースの100mで再び肉離れをし、最後のスウェーデンリレーも怪我を押して完走しましたが、こうした苦しんだ姿を部員に示すところこそ、彼を支えた田村主務並びに全部員が結束した要因であったと感じられた瞬間でした。
当日は晴天に恵まれ、多くのお子様、保護者の方々もスタンドにいらっしゃり、現役選手やOBOGの活躍を観戦頂きました。
こうした競走部OBOGの皆様と一緒に、一貫校や地元の多くのファンの皆様に支えながら、競走部の活動がある事を部員一同再認識した次第です。
このALL慶應陸上祭は、OBOGの皆様には馴染みもないものかと思います。まだ二回目の開催ですが、現役の発案で自分達がやっている事を胸を張って示し、一貫校や地元の子供達に声掛けし、将来の競走部への入部希望者やファンを作る事、一貫校の後輩も一緒に交わり紅白戦形式として試合に参加し、最後に先輩の送別会を行うと言うものです。
今回も企画立案、プログラム作成、企業への協賛、全て学生主導で行いました。協賛に関してはSEIKOのように長くサポートして頂いている企業に加え、自分がインターンをしている企業からの協賛(ON Japan)や、アルバイト先の日吉のパン屋さん(One Hundred Bakery)等々、自分達で話しに行き、地域貢献としての意義を伝え協賛を頂きました。
自分が現役時代には考えられない程、現在の学生たちは何が必要で、どうすれば良いかを考えているように思います。

このALL慶應陸上際を終え、文字通り伊藤主将の下、新チームがスタートし、来期を意識し始めております。
3年生以下の現役で唯一3年間、毎年関東インカレで決勝進出を果たしているのが走高跳の武田翔太(3年、経済、慶應義塾)で、結果は1年は8位、2年は11位、3年は7位となります。
昨年、2m15cmの塾記録の更新後、怪我もあり自己記録更新に時間が掛かっている彼に、刺激となる新1年生が指定校推薦にて来春入学して参ります。
指定校推薦の最終合否が12月の為、詳細は控えますが、高校2年時のインターハイでメダルを、本年もインターハイ、国体とメダルを獲得している逸材です。
来年の関東インカレで武田翔太と新1年生の2人の表彰台が実現すれば昭和14年以来、84年振りの快挙なのですが、 一つ問題が御座います。走高跳のマットです。
老朽化が進み、先日の早慶戦では晴れていながらも、着地すると水しぶきが上がる状態で、六大学対抗などの招待試合では慶應義塾のマットは使用せず、外部からのレンタルで対応しております。
本来であれば5年に一度のグランド検定年に大学の予算で買換えですが、先日のプレ検定で裂けている部分も多く危険故、早急に買い替えが必要と指摘を受けました。
走高跳のマットを全て交換した場合は、約250万円になります。然しマットの上部のみであれば50万円強、防水カバーが走高跳、棒高跳夫々裂けている為、夫々10万円程、合計約70万となります。来年度の検定に合わせ申請→許可→納入の時間を考慮すると今シーズンの納入は絶望であり、4年、1年の複数入賞の快挙に間に合わない見込みです。
これだけ有望な選手が揃う状況下、練習に専念出来る環境整備するのは監督の責務であり、先ずは上部と雨除けのカバーだけでも、OBOG会と協力して競走部自身で、前倒しで購入しようと検討しております。
本年6月、元短距離OBの豊田基二君(経済、旭丘、98卒)が種目外の槍投の槍を購入し、伊藤達也新主将の活躍に寄与した件で、なぜ投擲OBに一声無かったのかと一部の諸先輩からお叱りを受けました。今回、同じようにならない為にも、皆様に事前にこうした事情を報告させて頂いた次第です。

寄付のお願いに関しては、田﨑OBOG会長とともに追って改めて連絡させて頂きますので、その際には、84年ぶりの快挙に向けご協力頂ければ幸いでございます。

世代交代を行い、106代目として伊藤主将以下、新チームはスタートしたばかりで不慣れな点も御座いますが、各ブロックで大きな目標に向かい日々練習をしております。
今後共どうか温かい目で見守って頂き度、宜しくお願い申し上げます。

競走部監督
鹿又 理

監督便り Vol.4 2022 Oct

今シーズンも終盤になって参りましたが、大事な試合を通じ多くの収穫がありました。

9月9-11日に京都西京極陸上競技場にて、日本インカレが開催されました。台風一過となり真夏日の大会でしたが、各人が収穫を得たインカレでした。今年の関東インカレで一番存在感を示したのは3年生でした。三浦和真(理工、都小山台)は男子三段跳で3位、伊藤達也(商、帝京大学)は男子槍投で6位、武田翔太(法律、慶應)は男子走高跳で7位、大久保綺更(環境情報、都富士)は女子棒高跳で6位、浦津ななの(環境情報、中京大中京)は女子棒高跳で7位でした。

皆、関東インカレで入賞し自信を付けており、日本インカレでも同様に入賞が出来ると思っていましたが、3年生全員が入賞出来ず全国の壁に跳ね返される結果となりました。然し乍、全国の壁を知った事で、最後の年に今年以上の結果を出せる可能性が高くなったと思っております。

そんな中、最後のインカレに対する4年生の意地も見られました。休学し棒高跳のメッカである香川県に留学していた角田ルアニィ(4年、環境情報、不動岡)が女子棒高跳で5位に、細井衿菜(4年、総合政策、中京大中京)は関東インカレの悔しさを晴らすべく落ち着いた走りで経験値の違いを見せての7位入賞となりました。

又、今季好調の豊田兼(2年、環境情報、桐朋)は、400m、400mHをそれぞれ余裕を持って決勝に進み、400mは3位でしたが、400mHはPBで準優勝を果たしました。

前半から積極的に攻め、将来の可能性と課題が明確になった価値のあるレースでした。

他にも残念ではありましたが男子4x100mRは1組1着、全体9位と久々の39秒台で来年の可能性を大いに期待させるものでした。男子リレーチームがあと一歩と盛り上がる中、女子リレーチームの悔しそうな表情が印象的でしたが、この想いこそ来季の女子リレーチーム躍進の原動力になると信じております。

9月25日には日吉にて第98回早慶戦が開催され、今回は記念すべき第1回女子の早慶戦も開催されました。結果は男子が97対93で5年振り20回目の勝利、女子は14.5対24.5で初勝利とはなりませんでした。男子は得点計算を従来の3点制から6点制に変更する事で、どの順位も重要であり得点に絡む事を意識する事でよりチームとして纏まった結果だと思います。伝統ある早慶戦ではありますが、応援指導部が応援に加わって頂く事で盛り上がりの違いを感じられたり、試合中や試合後の両校やOBOGの方々の交流の場、試合内容も含め、従来の形を少しづつ変化させ、来年の99回、再来年の100回大会に向け、一つの試合ではない新しい早慶戦を両校で創りあげる事を検討して参ります。

今年から両校監督も代わり早慶は100年来のライバルですが、パートナーとしてより関係を強固にしていこうと話し合いました。大先輩からすれば当然の事かも知れませんが、これからの世代の早慶戦の在り方も含め関係を再構築していく所存です。

その流れで早速、早稲田からのご提案で10月4日に早稲田OBで槍投げロンドン五輪代表のディーン元気選手を交えた早慶合同投擲練習会を所沢キャンパスにて開催頂きました。慶應からは伊藤達也(3年、商、帝京大学)ら投擲ブロックが参加し、貴重な経験をさせて頂きました。今後、各ブロックで合同練習会を検討しております。

両校の監督、助監督、コーチ陣では、早慶から学生陸上界を席巻する多くの人材を輩出する様、関係強化を目指すと話し合いました。

9月末締めで箱根駅伝プロジェクトのクラウドファンディングが終了致しました。競走部内外の444名もの方々から8,548,000円ものご寄付を頂く事が出来ました。これも競走部OBOGの皆様から脈々と続く慶應義塾体育会競走部だからこそ出来た事と思います。改めて感謝申し上げます。有難う御座いました。

10月15日(土)に箱根予選会が開催されますが、この多くの方々の想いを追い風にし、当日は必ずや想いを実現してくれると思います。今年は昨年以上に練習も積めており、後は本番でどう結果を出すかだけになっておりますので、どうぞご注目下さい。

最後に10月30日(日)、日吉にてALL慶應陸上祭を開催致します。これは今年で2回目の開催となりますが、競走部だけでなく一貫校、地元の小中学生もご招待し、記録会、及び子供かけっこ教室を開催し、今年1年の部員一同から感謝の気持ちをお伝えする場とさせて頂いております。

勿論、競走部OBOGの皆様にもご家族連れでお越し頂き度、記録会やかけっこ教室にご参加頂き、又、コロナでなかなか集まれなかった状況故、旧交を温める場にして頂ければ幸甚です。

加えて、4年間チームの中心として活躍し、最後の1年はチームを鼓舞してきた4年制の送別試合も行います。OBOGの皆様にも是非4年生の最後のレースを応援して頂き、現役部員と一緒に大送別会にご参加下さい。今後、競走部は現役、OBOGの垣根を更に低くし一体感を持って参りたいと思っており、是非、こうした機会に日吉までお越し下さい。

秋のシーズンも残すところあと僅かとなります。引き続きご声援の程、宜しくお願い申し上げます。

競走部監督

鹿又 理

監督便り Vol.3 2022 Sep

秋のシーズン到来です。明日からの日本インカレ、今月25日の早慶戦ももう間近になってまいりました。
シーズンを迎えるあたり、OBOGの皆様には夏季合宿中の長距離ブロックや跳躍ブロック、明日のインカレの差し入れ、次世代オリンピアン育成資金、箱根駅伝プロジェクト活動資金、更には箱根に向けてのクラウドファンディングと今夏は実に多くのお願いばかりをさせて頂いたにも関わらず差し入れは即日で完了し、クラウドファンディングもおよそ10日間で第一目標の500万に達成する事が出来ました。部員一同大変感謝しており、誠に有難う御座いました。

昨日、菅平で行われている長距離合宿に行って参りました。菅平の8月はラグビー合宿のメッカで有名ですが、9月からは箱根を目指す各校のメッカとして10校以上の大学が選抜合宿を行なっており、既に各校が着々と練習を積んでいる様子が伺えました。
菅平の前の紋別の合宿中、クラウドファンディングを始める直前に、現在、中長距離のコーチとして東京五輪、オレゴン世界陸上に選手を送り出している横田真人君(立教池袋、総合政策、2010卒)がZoom会議を開催してくれ、選手達にクラウドファンディングを行うにあたり、多くのアイデア、コメントを頂きました。クラウドファンディングとはただの寄付金集めでなく、自分達の姿を自分達から発信していくことの大事さに気付いたようでした。合宿中の選手達と話しても練習の充実振りに加え、箱根プロジェクト、クラウドファンディング、多くの方のサポートに感謝すると共に、自分のものとして改めて捉え、顔が変わってきたように思います。10月15日の予選会が楽しみになって参りました。

明日からの日本インカレは京都で開催され、競走部からは選手、スタッフ総勢43名で遠征に参ります。
特に注目は、男女4x100mRのメンバーが揃って調子を上げてきた事、フルエントリーする女子棒高跳の3名が複数入賞出来るか、4年間女子部門を引っ張ってきた細井衿菜さん(中京大中京、総合政策、4年)が最後のインカレの800mで勝ち切る事が出来るかどうか、今季自己ベストを大幅更新している豊田兼君(桐朋、環境情報、2年)が、110m H、400m、400mHを3日間でどの種目に出場し初優勝を目指すか、等々。レベルの高い日本インカレでも関東インカレで入賞したメンバーを中心に活躍が期待されます。
京都での開催は久しぶりですので、関西地区、中京地区の皆様には是非、現地にお越し頂き現役選手の活躍を生で観て頂ければと思います。
ご参考まで、競技日程は以下の通りです。http://iuau.jp/ev2022/91ic/91ic_kyoginittei-r.pdf

私もこれから京都に向かい選手達の最後の調整を確認して参ります。
京都でOBOGの皆様と久しぶりにお目に掛かれるのを楽しみにしております。

競走部監督
鹿又 理

監督便り Vol.2 2022 Aug

シーズン真っ盛りです。世界陸上から始まり、同志社戦、トワイライト、各記録会、佐野スプリントと立て続けに試合がありました。世界陸上はOBの小池祐貴君(立命館慶祥、2018総合政策卒)が直前のコロナの陽性反応で棄権となり無念だった事と思います。現役にもスタートラインに立つ事がどれだけ貴重で意義があるかを伝えていきたいと思います。

同志社戦では直前の戦略分析では男女共に僅差で負ける可能性大となっておりましたが、結果的に男子は38対20、女子は20対19と、6月の監督就任後初の公式戦で男女共に勝利を収める事が出来ました。1人の1点では勝てませんが、その1点が無ければチームとして勝てない事を各人が意識し、結果的に勝ち切れた事は意義があると思います。その中で、男子400mで優勝した豊田兼君(桐朋、環境情報2年)の45“92と先週末の実業団学生対抗の110mHで13“44は夫々、今季学生ランキング2位、加えて7月の国体選考会での400mHの49“82は今季学生ランキング4位と、9月8-10日に京都で開催される日本インカレは何で狙うかも楽しみになってきました。

日本インカレに向け、今期好調の伊藤達也君(帝京大学、商3年)率いる投擲ブロックに、豊田基二さん(経済、旭丘、1998年卒)から試合用の槍を寄付して頂きました。こうした投擲ブロック出身でないOBから活躍している他ブロックへの寄付は非常に有り難いです。スウェーデン製の高性能のもので、伊藤達也君は先日のトワイライトでもこの槍で3位入賞を果たしました。

8月には徳島インターハイに細萱助監督、現役学生と勧誘に行き、事前に現役とOBOGで結成した勧誘チームのデータを元に将来の競走部を担う高校生と先生方に会って参りました。こうした地道な努力が必ず実ると期待し多くのOBOGの皆様のご協力も得られればと思います。

佐野スプリントや各記録会で自己新、シーズンベストが出ており、9月のインカレに向け、最後の追い込みの夏合宿が始まります。長距離、跳躍は合宿中に必要な欲しい物リストをお願いして参ります。猛暑の日本で練習を積むには栄養補給は不可欠で、その他にも必要な物が多く現役の活躍の為に、どうぞ宜しくお願いします。

お願い続きで恐縮ですが、箱根駅伝プロジェクトの新たな資金調達としてクラウドファンディングの立ち上げを準備しており、真冬の箱根に皆様と一緒に行く為にもどうかサポートの程、宜しくお願いします。

最後になりますが、猛暑の日本、OBOGの皆様も熱中症等、くれぐれもご自愛下さい。
シンガポール在住20年以上の私も徳島に行き、日本の猛暑の厳しさを実感した処です。

競走部監督
鹿又 理

監督便り 2022 Jul

6月の監督就任から3週間が経ちました。その間、現役と一緒に香川、奈良、岐阜、宇都宮に行き、現地OBの皆さんと合同で勧誘を行いました。未来のエースの発掘という共通の目標をOB-現役が一緒に汗を掻きながら動き回る姿は、コロナ禍で行動制限をされた鬱憤を晴らすかのような一体感がありました。

この3週間は未来のエースの発掘ばかりではありません。先輩として競走部にその背中を見せ続けている小池祐貴君(立命館慶祥、2018、総合政策部卒)が7月15日よりアメリカ・オレゴンで開催される世界陸上に200mと4x100mRの代表に選出されました。

日本とオレゴンの時差は16時間ですが、数々の世界大会を経験した小池祐貴君の活躍をこの夏、皆さんと応援したいと思います。

先輩の吉報の次は、やはり現役の活躍です。
7月31日(日)に同志社を日吉に迎え、慶應-同志社戦を開催します。関東インカレ後に自己ベストを更新している選手も多く、その活躍を間近で観るだけでなく、お子様向けかけっこ教室、オトナのかけっこ教室と趣向を凝らし、ご家族で楽しんで頂ける大会にしますので、久しぶりの日吉で旧交を温めて頂きたいと現役一同お待ちしております。

日本は随分と暑くなって参りましたが、我々の時代と変わらず現役は日吉グランドで練習に励んでおります。OBOG皆様のサポートを引き続き宜しくお願いします。

競走部監督
鹿又 理

 

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