監督便り

監督便り Vol.22 2024 May

学生は春のシーズン真っ盛りですが、OBOGの皆様は如何お過ごしでしょうか。現役の活躍のニュースもあり日吉や国立に足を運ばれた先輩方も多いかと思います。

5月最初の朗報は、バハマで開催されました世界リレーの4x100mRに出場した三輪颯太(環4、西武文理)が予選、決勝とアンカーを好走、パリ五輪4x100mRの日本の出場権獲得に貢献しました。本人としては初の日本代表に選出され、サニブラウン選手らと一緒にリレーを組めた事は今後の競技人生に大きな影響を与えてくれる経験となりました。

5月はチームとして春の一番大事な試合、関東インカレの月です。
試合前の戦力分析では男子16点-13位と女子16点-13位と昨年から目標に掲げた男子40点、女子20点には遠く及ばず、他大学との差は明治13位-16点、大東文化15位-13点、流通経済16位-12点と下3校とは数点差と予断を許さない気持ちで臨みました。
初日の400m、110mH、十種競技の活躍でチームの雰囲気も良くなり、2日目で400mで豊田兼(環4、桐朋)、十種競技で髙橋諒(商1、桐朋)が優勝、110mHで岩井章太郎(環4、同志社)が5位と2日目終了時に20点を獲得。400mは準決勝で45“57と今季日本最高、廣瀬英行さんの塾記録を更新しこの種目13年振りに優勝。十種競技では今田忍さん以来、58年振りに塾新で優勝。岩井は去年の4月に骨折してから1年間殆ど走れず苦しい時を過ごしましたが、春先からPBを更新しランキング10位であり乍、結果として4年生で初めて決勝進出、5位入賞を果たしました。
3日目の走幅跳は4年間期待されながらも、結果が出ず苦しんだイベルブランドン(総4、洛南)が4年生で初めての決勝進出、10位以下のランキングにも関わらず5位入賞と奮闘しました。
4日目のハーフマラソンはOBOGや父兄の方々のご協力で慶應義塾の幟を持った応援が朝から始まり、2004年の亀田健一さん以来20年振りに田島公太郎(環4、九州学院)が8位入賞しました。
女子部員でこの冬一番厳しく練習をしてきた副将の仲子綾乃(総4、浜松西)が最後の年に去年の4位から一つ順位を上げ、銅メダルを獲得。女子槍投げは春先に利き腕の薬指を骨折した倉田紗優加(環2、伊那北)が怪我明け初戦の第一投で自身の塾記録を更新し57m27で2位以下に1m85の差を付けこの種目慶應としての関東インカレ初優勝を飾りました。
200mでは前述の三輪颯太がバハマ帰りの疲れもあり乍ら、最後の関東インカレに出場、5位入賞、そして初出場の林明良(法2、攻玉社)が予選からPBを更新し先輩の三輪を後半捉え4位入賞しました。200mの複数入賞は1966年の長谷川一三さん(2位)、岡松武司さん(4位)以来、58年振りとなり大いに盛り上がりました。

結果的に優勝3種目で、男子34点-12位、女子14点-15位という結果でした。
監督としてこの4日間で感じたのは金メダルを獲得した3名は勿論のこと、4年生の活躍が目立った大会でした。過去は点数を獲得する選手が少なく、4年生の限られた選手に頼ることになり、その選手一人の肩に重圧が掛かり怪我を誘発し思い通りの結果が出ない事が多かったように思います。然し乍、ここ数年を見ると1人の選手に頼ることなく4年生が引っ張り自分の仕事をしっかりする姿勢が練習にも見受けられます。1人が1種目で獲れる点数は8点が上限であり、それだけでは昨今1部残留は出来ません。それを各人が理解し自分も点数を獲るが、お前も頼むぞと言った姿勢が窺えます。引き続き「強くて良いチーム」を目指す上で欠かせない、自分の出来る範囲は最大化するものの、出来ない範囲は仲間を信用し任せるという姿勢が今後更に浸透していくであろうと思える関東インカレでした。

然し乍ら、4日間戦った後の全体集合では豊田主将、吉川昂希主務(総4、湘南学園)からは目標であった男子40点、女子20点に届かなかった事が第一声に出るなど、現状に満足する事なく、上を目指す姿は頼もしく思いました。107代の気持ちの強さ、そして108代へ託す想いを感じた集合後の挨拶を聞き、107代の残り半年の活躍が更に楽しみになりました。

今回の関東インカレの活躍で特筆する選手は多くありましたが、今後の期待としてOBOGの皆さんが感じられるのは、1年生乍、十種競技で優勝した髙橋諒では無いでしょうか。八種競技の高校記録保持者として競走部に入部、新たに棒高跳、円盤投の二種目を加え、関東インカレでは砲丸投、走高跳、円盤投、棒高跳、槍投げの5種目でPBを更新し、7235点とU20日本最高記録、U20世界選手権標準突破、今夏ペルー(リマ)で開催されるU20世界選手権出場を目指し日々練習に励んでおります。髙橋効果からか、新一年生に八種競技をしていた者が髙橋入れて4名入部し、先輩の山田直弥(商3、清水南)、鎌形圭佑(経3、慶應)と合わせて6名の混成ブロックが誕生する勢いです。ここで問題なのが、練習器具の不足となります。特に棒高跳のポールと槍投げの槍が不足しており、OBOGの皆さんのご協力をお願いしたいと思います。2年前に一人のOBのご寄付により当時主将の伊藤達也(帝京大学、2024卒)に槍を購入した際、後日、事前に知っていれば投擲の先輩として寄付したかった等のお叱りのコメントを頂きました。今回はそうしたお話しを受けこのような形で事前にご連絡させて頂いております。混成の髙橋諒とそのブロックを中心とした跳躍、投擲選手の活躍の為、ポールと槍のご寄付をOBOGの皆さまにお願い出来ればと思いますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。詳細は追ってご連絡申し上げます。

19日にはセイコーゴールデングランプリの400mHに出場した豊田兼が自身の持つ塾記録を0.11更新し、今季日本最高、日本歴代5位の48”36で優勝しました。既にパリオリンピックの標準記録を突破しており、6月末の日本選手権で優勝すれば自動的にオリンピック出場が確定する為、大いに期待したいところです。

シーズンは始まったばかりですが、多くの種目で好結果も出始めました。怪我や不調で記録が出なかった者がいるのも事実です。「強くて良いチーム」を目指し、部員全員が好記録を出せる環境を現役のサポートスタッフやOBOGの皆様と一緒に整えて参りますので、107代のシーズンを見守って頂ければ幸甚です。
どうぞご期待下さい。

競走部監督
鹿又 理

ご寄付の振込先については、こちらをご覧ください。

監督便り Vol.19 2024 January

新しい年となり新たな気持ちで2024年を迎えております。
国内は波乱の年明けとなりましたが皆様におかれましては健やかにお過ごしでしょうか。
競走部1917マガジンという素晴らしい企画が現役から出るようになり、本年は学生達の活躍を現役と監督の視点から夫々お届けして参りますので、どうぞ宜しくお願いします。
新年の恒例行事である箱根駅伝は今年100回大会を開催され、塾競走部は出場が叶いませんでしたが、改めてこの場に慶應義塾のKマークを着た選手をOBOGや関係者の皆様にその勇姿をお見せしたいと思いました。晦日に箱根駅伝プロジェクトを発足時から支えて頂いている慶應義塾大学名誉教授の村井純先生とSFCランニングラボの蟹江憲史君(競走部OB、1994卒)、中澤仁 競走部部長、保科コーチ、細萱助監督、鹿又と過去7年を振り返り保科コーチ就任前と後を再確認し、やはり次の5年も保科コーチの下、必ずや箱根路にKマークを走らせる事を誓いました。
学生たちは1月6日(土)よりブロック毎の集合が開始されましたが、日吉は比較的暖かい日が続いており、日吉グランドの改修工事の中、学生達は日吉の並木坂での走り込みを中心に、駒場東大グランドや大和、等々力ら近くのグランドで練習に励んでおります。
今年はオリンピックイヤーであり、400mHでパリ五輪標準記録を突破している主将の豊田兼(環3、桐朋)を中心に更に走り込みを続けており来季の活躍が楽しみであります。
高野短距離コーチの下、OBの山縣亮太君(総、2015卒、修道)も学生と一緒に練習をしてくれており、昨年11月に100m塾歴代2位の10“26を出した三輪颯太(環3、西武分離)も先輩の塾記録10“07の更新、そして今年5月上旬にバハマで開催される世界リレーの代表も視野に入れ大先輩と共に練習に励んでおります。世界リレーの代表選考が4月となる事から、春先の海外や沖縄での試合出場を検討しており、この遠征費をOBOGの皆様から寄付を頂いておりますオリンピアン基金の一部を使わせて頂きますので、引き続きご支援の程、宜しくお願い申し上げます。
跳躍ブロックも佐藤跳躍コーチの下、入部当初から常に期待されてきたブロック長のイベル・ブランドン(総3、洛南)も最後の年、皆の期待に応えるべく練習に励んでおります。4月に大型新人数名が入部してくる中、ブロックが更に上のレベルに向かう為にもブロック長自らの活躍に期待したいところです。
1月10日に107代目の今季の方針が豊田兼主将より部員に発表されました。
4月上旬に開催予定の東京六大学対抗戦は男女共に準優勝。これは常に法政、早稲田の次の3位の定位置を打開し、今季を占う大会と位置付けております。そして部の一番の目標は関東インカレであり、そこで男子40点、女子20点を掲げました。今回は敢えて順位の目標を出さず、必ず得点を獲得すると言うのが107代目の特色です。掲げたからには必達を目指し、しっかりとした基盤を作り次の代に引き継ぐという将来を見越した目標です。107代目は個の強さが目立ちますが、豊田主将を支える吉川昂希主務(総合3年、湘南学園)、三輪颯太副将、仲子綾乃副将(環3、浜松西)、そして各幹部が短距離、中距離、長距離、跳躍、投擲、サポートと夫々の部員の意識を高めており、チームとしての纏まりを冬季練習の間に熟成させております。
来月、2月19−23日の間、鹿児島にて全体合宿を行いますが、コロナで修学旅行や合宿を経験した事がない世代の彼らがチームビルディングと個の練習のバランスを考えながら進める姿は頼もしさを感じます。鹿児島は少々遠いですが、もしお時間があれば是非、足をお運びになり激励して頂ければと思います。
107代目は更に競走部が飛躍する予感を感じさせるチームです。2024年の競走部を引き続きご支援、ご声援の程、宜しくお願い申し上げます。

競走部監督
鹿又 理

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監督便り Vol.18 2023 December

今年も残すところ約一週間となりましたが、皆様如何お過ごしでしょうか。
学生たちは日吉グランドの改修工事によってグランドが使えない事から、東大駒場グランドや大和の陸上競技場等で練習に励んでおります。

12月7日の塾長招待会に日本選手権リレーの4x100mR優勝メンバーの豊田兼(環3、桐朋)、三輪颯太(環3、西部文理)、篠宮健吾(政3、慶應)と学生個人選手権3位の仲子綾乃(総3、浜松西)がご招待頂きました。昨年は5年振り早慶戦勝利によって大人数で出席したものの今回は少人数となりましたが、この栄誉ある塾長招待会に来年は男女早慶戦勝利は当然として、複数種目で好成績を残し出席したいと思います。

12月19日には競走部1917マガジンという学生発信の競走部の現状をお伝えするものを刊行致しました。OBOGの皆様には昔の「現役便り」を彷彿させるものと思います。監督便りと1917マガジンと夫々違う視点から競走部の「現役の今」を皆様にお伝えし、皆様のお気持ちが一歩、日吉グランドを向いて頂ければと思います。監督便りも同様に、助監督からの便りも来年は組み入れる予定で、多くの視点での「現役の今」をお伝えしたいと思います。

長距離ブロックのシーズンは続いており来年の箱根予選会の実力を図る上で重要な試合と位置付ける、全日本大学駅伝関東選考会出場に向け年末まで各競技会に出場しております。
この全日本大学駅伝関東選考会には上位20校が出場し、競走部は21年振りに出場した2021年以来の出場を目指します。来年6月迄に上位8名の1万mの平均タイムを20位以内にする事が条件となる中、我々は現在21位で記録は29分26秒2。競合相手として、18位 流通経済大学(29分21秒1)、19位 専修大学(29分21秒7)、20位 神奈川大学(29分22秒2)、22位 拓殖大学(29分29秒0)と約8秒の間に4校が犇めき、長距離ブロックの活躍にご期待下さい。
そんな中、12月2日の日体大記録会で、東叶夢(環2、出水中央)が1万mで29’34”65のPB(関東インカレB標準)で部内五番目となり平均を上げて来ました。

年末には箱根駅伝プロジェクトを発足時から常に支えて頂いております慶應義塾大学名誉教授の村井純先生と、慶應義塾大学教授でSFC ランニングデザインラボの蟹江憲史君(競走部OB、1994卒)、中澤仁 競走部部長、保科コーチ、細萱助監督と過去7年を振り返ると共に次の5年をどう捉え確実に箱根駅伝出場が出来る体制作りの作戦会議をして参ります。
来年の1月の箱根駅伝は学連選抜もなく競走部としては寂しい正月となりますが、何としも「来年こそは」は今年が最後になるように、チームが一丸となり精進して参りますので、引き続きご声援の程、宜しくお願いします。

この一年を振り返りますと沢山の事がありましたが、月毎に簡単に纏めてみました。

1月 箱根駅伝に貝川裕亮(環4、美濃加茂)が学連選抜で10区に出走。
2月 投擲ブロック早慶合同練習開始。
3月 105代目(藤木主将、田村主務)納会。
4月 六大学対校戦が10年振りに国立競技場で開催、男女共3位。
5月 関東インカレ男子12位、女子14位。(男女計6個のメダル獲得)
6月 地区大会でOBOGと連携し高校生の勧誘活動を実施。
7月 クラウドファンディングにて1001万円ものご寄付を頂く。
8月 ユニバーシティゲームスで豊田兼が110mH優勝。早慶戦は男女共敗戦。
9月 日本インカレ男子総合14位。女子無得点。
10月 日本選手権リレー4x100mR優勝。同志社戦男女共勝利。箱根駅伝予選会22位。
11月 107代目(豊田主将、吉川主務)本格的にスタート。
12月 全日本大学駅伝予選会21位。(現時点)

競技成績は各ブロックで多くの自己記録が出た一年でしたが、来年は更に好結果が大事な試合で出せる様、チーム一丸となって参ります。

この一年クラウドファディングのご寄付の他にもOBOGの皆さまや、競走部内外の方々の多くの御援助を頂く事で結果を積み上げる事が出来ました。改めて御礼申し上げます。
有難う御座いました。
コーチ、トレーナーが充実してきたことにより、効率的な練習が出来るのと同時に、怪我人を減らせた事が結果に結び付きつつあります。又、全国に勧誘に行く事で有望な高校生が入学してきております。部員だけでなくスタッフや関係者一同が、多くのサポートの上に成り立っている事を決して忘れず、「強くて良いチーム」を目指し日々精進して参りますので、来年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

Merry Christmas and Happy New Year.

競走部監督
鹿又 理

監督便り Vol.17 2023 November

一気に寒さが増して参りました。学生たちはトラックシーズンを早々に終わらせ冬季練習に向け準備を始めました。
10月末のALL慶應より世代交代を行い、豊田兼(環3、桐朋)主将率いる 107代目の新チームがスタートしました。チームのスローガンは「すゝめ -We Over Me-」。

彼ららしい想いの詰まったスローガンとなりました。これは「学問のすゝめ」から引用し、競走部や競技人生において自らの駒を泥臭く前に進めて行くという思いを込めています。加えてサブスローガンの 「We Over Me」は、チームは個人に勝るという思想の下、競走部が大事にする対校戦は個人競技の陸上がチームスポーツになる瞬間であり、この想いを持って日々練習に励み試合に臨んで参ります。

日吉グランドは先月10月中旬から来年3月下旬迄、15年振りに改修工事を行います。その間、学生達は練習場所を探し他大学や公共グランドでブロック集合となります。チームを熟成させる大事な冬季練習の間、全体集合が出来ない不自由さを、他大学への出稽古の良い機会と前向きに捉えられるかどうかに掛かっております。

冬季を3年生以下の新チームが切磋琢磨した後、これを更に活性させるのが、来年4月に入学する新一年生です。11月は指定校推薦、AO受験の合否も発表され、残念な結果もあったものの、将来有望な高校生の合格の吉報も御座いました。これは全国に在住の諸先輩方のサポートと現役学生の連携により、多くの有望な高校生が慶應義塾を目指した結果です。競走部の強化に勧誘が重要なのは御既承の通りです。皆さまの後輩や地元の進学校から一人でも多くの有望な高校生が入学出来る様、現役、OBOGが一体となる共同体制を充実させて参りますので、ご自分の母校、ご出身の都道府県と少しでもご協力頂ける様、宜しくお願い申し上げます。
監督、助監督も日本全国の高校、試合に参ります。そこで皆さまにお目に掛かり現役の現状をお話しする機会も持てればと思いますので、その節はどうぞ宜しくお願いします。

107代目は個々が強い代と言われてきました。然し乍、この冬季の出稽古の間、個々が刺激し合いチームとして強くなる為に成長して参ります。OBOG、関係者の皆さんには1年間の彼らの成長を見守って頂き、ご支援ご声援の程、宜しくお願いします。

この新チームがどう活躍していくか今から楽しみです。引き続き宜しくお願いします。

競走部監督
鹿又 理

監督便り Vol.16 2023 October

秋も深まって参りました。秋のシーズン真っ盛りの10月は多くの試合が御座いましたが、悲喜交々を感じた月でした。

先ずは10月1日の男子第72回・女子第14回、同志社戦。戦前予想は男子13点差、女子も僅差と敗戦ムードでアウェーの京都に参りました。
男子対校戦は最初のレースである5000mを1年生の成沢翔英(環1、山梨学院)が優勝し波に乗りましたが、人数の少ない投擲と跳躍で苦戦し、戦前予想は0−6の1500mがリレーの前の最終種目、しかも4−2以上で勝ち越さなければリレーの前に同志社勝利が確定する中、吉田航太郎(経1、慶應志木)と井上丈瑠(経2、長岡)が下馬評を覆し1位、2位の5−1で勝ち越し、最終種目のリレーで引離し、34−29で勝利致しました。
女子対校戦は副将の岩屋佑未奈(経4、慶應女子)が、怪我をおして出場し、100m、100mH、4x100mRの三冠で大会MVPの大活躍に加え、他種目でも同志社を圧倒、25−14で勝利し2年連続で男女共に勝利致しました。常に高い目標を掲げてきた4年生としては最後の対校戦で勝利を飾る事が出来ました。

同日、400mHの記録を狙う為、同志社戦を欠場し新潟で行われたグランプリに出場した豊田兼(環3、桐朋)が日本歴代6位の48“47の今季日本最高記録をマークし来年のパリ五輪の標準記録を突破しました。来年、現役で五輪に出場すれば2012年ロンドン五輪の山縣亮太(2015卒、修道)以来となり、大いに期待が掛かるところです。

10月8日には日本選手権リレーの男子4x100mRで83年振りの日本一に返り咲きました。廣木亮太(理4、浦和)-三輪颯太(環3、西部文理)-篠宮健吾(政3、慶應義塾)-豊田兼と繋ぎ、38“96の塾新で優勝、日本インカレの雪辱を果たしました。部員達が先輩方の築かれた歴史を感じ乍、これからも一つづつ塗り替えていければと思います。

10月14日は第100回箱根駅伝の予選会が立川昭和記念公園で開催され、我がチームは22位という結果に終わりました。監督となり1年強、箱根を意識して臨んだ予選会でしたが、正直「箱根は手強い」と感じた試合でした。過去3年間の順位は19位→26位→22位と振るわないと思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、木村有希(総3、葵)は24位、田島公太郎長距離ブロック長(環3、九州学院)は45位、出走12名の内11名がPBと本番での結果も出せて参りました。やっと他大学と勝負が出来る状態になりましたが、今回は我々以上に他大学も実力を上げたというのが現状です。
予選会通過校は上から、大東、明治、帝京、日体、日大、立教、神奈川、国士舘、中央学院、東海、東農、駿河台、山梨学院。箱根に力を入れている大学であるのは当然で、留学生を起用する大学は17校、推薦入学も資金も無いのは事実でありますが、それは皆様が知っている事であり、それを乗り越えるから意味がある。慶應義塾が学生スポーツの最後の砦としての想いを持って続けて参りたいと思います。

10月21、22日はAll Keio Track&Field Festival が日吉の全面改修工事の都合で等々力競技場で開催されます。「強者であれ」を常に部員に示してきた伊藤達也主将(商3、帝京大学)ら106代目最後の試合であり、是非、皆様にグランドにお越し頂き、最後の勇姿に声援を頂ければと思います。

競走部監督
鹿又 理

監督便り Vol.15 2023 September

残暑厳しい日が続きますが、皆様如何お過ごしでしょうか。
学生達は秋のシーズンに向け、夏合宿を過ごし大事な試合に準備しております。

私も昨年同様、長距離の菅平合宿に応援に行きました。9月の菅平はラグビーでなく陸上長距離のメッカであり多くの学生が10月14日の箱根駅伝予選会、並びに1月2日の本戦に向け練習を積んでおりました。OBOGの皆様とクラウドファンディングのお陰で3回の合宿を迎え、我が競走部も昨年より怪我人も少なく良い状態で練習に臨んでおりました。実際にポイント練習を見ましたが、随分と迫力が出てきたというのが印象的でした。昨年よりも良い結果が出る事を信じ、当日を迎えたいと思います。

ロードだけでなく、Track & Fieldも負けておりません。9月14日より熊谷にて第92回日本インカレが開催されました。今回は男子30点、女子15点を目標に熊谷に臨みました。結果的に男子14位、17.5点、女子0点という結果であり、昨年の男子13点、女子6点に比べ、数字上はそこまで上がらず、女子は無得点でした。然し乍、数字以上に去年より遥に将来を感じさせる結果でした。これは「強者であれ」をスローガンに抱えた伊藤達也(商4、帝京大学)主将ら4年生のチーム作りの結果です。高い目標を置きそれに向かいチームを鼓舞した結果と言えます。
本インカレでは男子100mで三輪颯太(環3、西武文理)が10“37で4位、400mRで5位、200mも準決勝まで進出しました。昨年は100mと400mRに出場し、怪我で最後まで走れませんでしたが、今年は100m、400mRと大車輪の活躍でした。200m準決勝は7本目のレースでしたが、8本目まで走り切るのは今年の冬の課題となります。
400mRは新メンバーの中島叶雅(商1、慶應)ー三輪颯太ー廣木亮太(理4、浦和)ー豊田兼(環3、桐朋)と繋ぎ、39“00と塾新の全体2位で予選を通過し、決勝での活躍を大いに期待させました。決勝は39“13で5位に終わり、バトンの精度を上げたチームが優勝するのを再認識させられたレースでした。10月の日本選手権リレーでの活躍をご期待下さい。
伊藤達也主将は80m越えの関東インカレ優勝者も予選落ちする混戦模様の中、去年の予選落ちの無念を晴らすべく決勝に進出、68m40で8位入賞となりました。記録も大事ですが、インカレや対校戦は順位に拘らねばならず主将としての大役を果たしました。
豊田兼は昨年400m、400mHと3位、2位でしたが、今年は400mHで予選(49”51)、準決勝(49“09)、決勝(48“91)と3回連続自身の持つ塾新を更新し優勝を飾りました。記録と勝負と夫々大きく成長しましたが、更に上を目指せる可能性を感じたレースでした。
男子に比べ女子は厳しい結果でしたが、1年間怪我に泣き、多くの4年生が活躍した関東インカレでも苦しんだ、副将の岩屋佑未奈(経4、慶應女子)が女子100mで準決勝に進出した事は特筆すべき内容でした。
勿論、男女共に満足出来るものではなく、特に400mRを除くリレー種目に出場出来なかった事は今後の課題であり、部員全員が男女両リレーに出場し活躍するKマークが観たいと感じた事であり、チームの底上げの必要性を感じました。春の関東インカレで大活躍した4年生は特に悔しい思いをしましたが、この悔しさを伝える事で、男子30点、女子15点の目標を来年は達成してくれる事と期待しています。これは残り僅かな4年生の仕事です。

来月10月は1日に同志社戦(京都府 城山)、14日に箱根駅伝予選会(陸上自衛隊立川駐屯地)、21、22日にALL慶應(川崎市 等々力)とOBOGの皆様にもお越し頂き現役に声援を送って頂ける試合とイベントが御座います。4年生は引退となるALL慶應ですが、一年間結果を出しつつ牽引してきた面々をどうぞ声援と拍手で送り出して頂ければと思います。

秋のシーズン、OBOGの皆様のご声援を頂き乍、選手達が活躍する姿を是非、現地でご観戦下さい。

競走部監督
鹿又 理

監督便り Vol.14 2023 August

今年の夏も猛暑が続いておりますが、如何お過ごしでしょうか。

箱根駅伝プロジェクトの第二回クラウドファンディングが7月末に終了し、競走部内外の509名の多くの方々から1,001,300円ものご寄付を頂き、誠に有難う御座いました。この頂いたご寄付は夏合宿費用等に大事に使わせて頂きます。今回のクラウドファンディングは学生が必要と感じ、学生が中心となり企画立案して始めました。この結果、昨年より多くの方々からより多くのご寄付を頂く事が出来ました。

クラウドファンディングを依頼し進める事、そして結果を出す事で、今やらなければならない事を知ったと思います。それはクラウドファンディングの第二目標を達成する事ではなく、予選会を突破する事です。厳しい夏合宿を経て、10月14日の昭和記念公園の箱根駅伝予選会に臨みます。

学生たちは真夏の練習と試合で鍛え上げ、9月14日からの熊谷での日本インカレに向け準備しております。夏合宿での学生への差し入れもAmazon経由で頂き、学生達も大変助かっており感謝しております。改めて御礼申し上げます。

早慶戦、日本インカレの前哨戦として海外遠征に出場した、倉田紗優加(環1、伊那北)がU20フランス選手権(7月14日〜、パリ)の女子槍投げに出場、Open種目乍、50m57cmで初の海外試合で優勝しました。慣れない海外で調子が悪くても50m越えの実力が付いて参りました。倉田はトワイライト・ゲームス、実業団学生対抗でも優勝し、今季は関東インカレの準優勝と日本選手権7位以外は対学生では負け無しの勝負強さを誇っております。

豊田兼(環3、桐朋)がユニバーシティゲームス(7月28日〜、中国、成都)の男子110mHに出場、初の海外試合で優勝しました。予選で13“29の日本歴代6位、来年の五輪標準迄、あと0.02に迫り、日本代表として活躍する日が近づいて参りました。

国内の各試合でも廣木亮太副将(理4、浦和)が7月のトワイライト・ゲームスで男子100mにて10“33のPB(塾歴代6位)、篠宮健吾(政3、慶應)が8月のSANOスプリントで10“41のPB(塾歴代7位)と実力を上げて来ており、10秒31(塾歴代3位)のPBを持つ三輪颯太(環3、西武文理)と例年にないメンバーで日本インカレの個人での決勝、及び4×100mRで昨年の9位だった雪辱を晴らします。

個々の実力がついてくる中、臨んだ男子第99回、女子第2回の早慶戦は日吉に早稲田を迎え、男子は二連覇、女子は初優勝を目指しましたが、残念乍、男子は25対32、女子は14−25と男女共に勝利とはなりませんでした。その中で、今後の期待という点で、男子100mで篠宮健吾と廣木亮太が2位、3位と優勝争いに絡み、女子800mでは仲子綾乃(環3、浜松西)が競り勝ち、意地を見せました。男子走高跳の須崎遥也(商1、丸亀)は大会記録の2m10cmを上回る2m15cmのPB迄上げ、失敗に終わりましたが果敢な挑戦でした。

入賞には届きませんでしたが男子400mの横井健道(法2、城北)と奥泰貴(商3、湘南藤沢)は夫々PBを大幅更新し、次のレベルに上がる兆しが見えて参りました。

4x200mRは廣木ー三輪ー篠宮ー岡村で臨み、2015年の小池ー永田ー和田ー山田の塾記録1‘23“31に迫る塾歴代2位の1’23”41と勝利こそ逃しましたが、9月の日本インカレの4x100mRに繋がる結果となりました。

早慶戦を振り返り、選手層の薄さを改めて痛感致しました。豊田兼ら主力が世界大会などの影響で出場出来ない際の次の選手が居ない事、男女共に出場枠迄、選手が居ない種目がある事、等々、来年の100回大会に向け選手の実力向上並びに、選手の補強の重要さを再認識しました。

8月3日から北海道インターハイに勧誘に参りましたが、全国の進学校も出場しておりました。改めて全国のOBOGの皆様にご協力頂き、母校の後輩や地元の高校生に声掛けし、慶應義塾を志望して頂ければと思いました。現在、東海地区、近畿地区は組織立って現役とOBOGで連携して勧誘活動を行なっております。然し乍、他の地区では一部のOBOGの方にお手伝いはして頂いておりますが、組織立っての行動は出来ておりません。OBOGの皆様に現役学生と連携して頂き、より多くの文武両道を目指す高校生に、慶應義塾を志望して貰う様、ご協力の程、宜しくお願いします。

早慶戦の雪辱を晴らすべく、9月のインカレに向け日々練習を積んでおりますので、引き続きご声援の程、宜しくお願い申し上げます。

競走部監督
鹿又 理

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